制御弁がハンチングする — 現場で切り分ける順番と、交換して直る部品

まず手を付けるのは弁ではなくコントローラです。調節計をMANに落として出力を固定し、それでも揺れが残るかどうか——この一手で原因が半分に割れます。揺れが収まればループのチューニング側、収まらなければ弁・ポジショナ・プロセス側。部品を先に手配すると、この切り分けを飛ばしたぶんだけ外します。「パッキンを替えたのに止まらない」という話のほとんどは、部品の問題ではなく順番の問題です。

最初の数分でやること — MANに落とし、トレンドを重ねる

ハンチングと呼ばれている現象には、PVだけが揺れている場合と、OPも一緒に揺れている場合があります。まずSP・PV・OPを同じ時間軸で重ねてください。OPがほぼ一定なのにPVが周期的に振れているなら、弁は犯人ではありません。上流圧の変動、ポンプ、あるいは同じヘッダにぶら下がった別の弁を見る話になります。

OPが揺れているならMANに落とします。数十秒で収まるならPIDです。比例ゲインが高いか、積分時間が短いか、カスケードの内側と外側の速度が近すぎるか。この状態で弁を開けても何も出てきません。

MANでも揺れが続くなら弁側です。ただしその前にもう一つ。同じ時間帯に他のループも揺れていないかを確認してください。二台以上が同時に揺れているなら計装空気を疑います。ドライヤの再生切替やコンプレッサのアンロード周期と、揺れの周期が一致していることがあります。これは弁を何台開けても直りません。フィルタレギュレータの二次圧にゲージを当てて、揺れと同期して落ちるかを見ます。

弁側と決まったら — ステップを打って摩擦を見る

信号を固定したまま、開度指令を0.5%、1%、2%と段階的に振ります。小さい段では動かず、ある大きさで急に飛ぶ。これがスティックスリップです。グランドパッキンの締めすぎ、ステムの縦傷、ガイドブッシュのかじりが典型で、飛んだあと行き過ぎて戻る動きをポジショナが追いかけ続けます。制御室から見れば立派なハンチングですが、正体は摩擦です。

次にポジショナの出力空気圧をゲージで見ます。入力信号が一定なのに出力空気圧が周期的に上下していれば、ポジショナ自身が発振しています。ゲインやレートの設定、ノズルフラッパ部の汚れ、I/P変換器のオリフィス詰まりが候補です。計装空気にオイルや水分が混じる環境では、ここが最初に効いてきます。

逆に出力空気圧は安定しているのにステムが動くなら、機械側です。フィードバックリンクのピン、レバーの取付ボルト、アクチュエータとヨークの締結を手で揺すってみてください。ここに遊びがあると、ポジショナは永久に自分の尻尾を追いかけます。消耗品として登録されていないので、点検項目からも抜けやすい箇所です。

大口径弁や、ポジショナから駆動部までの空気配管が長い据付では、ブースタリレーのバイパスニードルも見ます。絞りすぎるとポジショナとブースタが互いに反応して振動します。ここは分解も部品も要らず、ニードルを少し開けるだけで収まることがあります。

どの開度で揺れるか — 原因を最も速く絞る手がかり

現場で聞き取るときに一番効く質問は「いつも揺れますか、それとも特定の開度ですか」です。揺れる範囲が分かれば、疑う対象はかなり絞れます。

揺れる範囲まず疑うもの現場での確かめ方見誤ったときに起きること
低開度(シートに近い側)だけ口径過大、シート近傍の不安定、トリム損傷実運転流量と定格Cvの関係、分解時のシート面ゲインを下げ続けても収まらず、プラグとシートを毎年削る
開度に関係なく全域パッキン摩擦、ポジショナ調整、計装空気の脈動ステップ応答、出力空気圧、レギュレータ二次圧パッキンだけ交換し、短期間で再発する
特定の中間開度だけトリムの損傷、異物の噛み込み、その開度で出るキャビテーション運転差圧と上下流圧、分解時のプラグの壊食痕同じ形式のトリムを入れ、また同じ期間で同じ状態になる
負荷が動いたときだけループ間の干渉、上流圧の変動、チューニング他ループのトレンドと重ねる弁を新品に替えても現象が残る

この中で圧倒的に多いのが低開度だけの揺れです。設計時に余裕を見て一段大きい口径を選び、実運転はずっと低開度、という組合せは輸入設備でも国内増設でも残っています。口径が同じなら、弁を新品に替えても同じ揺れが出ます。縮小トリムやケージでCvを落とすか、口径そのものを見直す判断になります。いま付いている弁のCvが運転条件に対してどの位置にあるかは、501G のような調節弁の仕様と見比べると掴みやすくなります。

交換して直る部品、替えても直らない部品

切り分けが済んでいれば、必要な部品はだいたい次のどれかに収まります。

替えても直らないものもはっきりしています。口径過大が原因のときの同型トリム交換と、ポジショナの丸ごと交換です。ポジショナを新品にしても摩擦は一切減りません。「揺れるからゲインを下げる」で運用に乗せるのも先送りで、応答が鈍くなり、負荷が動いたときに今度はオーバーシュートで指摘されます。

パッキン材質は一度確認しておいてください。高温対応でグラファイトを入れた弁が、ライン改造後は常温側で使われ続けている、という残り方をしていることがあります。グラファイトはPTFE系より摩擦が大きく、低開度でのスティックが出やすい。型式と年式が分かれば、韓国国内で部品を手配できる系統かどうかの判断が早くなります。KOSO Korea のように韓国国内に供給の拠点がある型式なら、日本から取り寄せる前に国内側を当たったほうが早く着くことがあります。

部品を頼む前に埋めておく欄 — 見積が止まるのは毎回同じ箇所

切り分けが終わっていても、手配の段階で止まることがあります。止まる欄はほぼ決まっています。

予備品の持ち方も同じ機会に見直せます。弁を一台丸ごと寝かせるより、パッキン・ダイヤフラム・I/P変換器の三点を型式ごとに持つほうが、停止時間には効きます。弁本体が割れて止まることは滅多になく、止まるのはたいていこの三点のどれかです。どの型式が韓国国内で扱われているかは製品一覧で確認できます。

銘板の写真と、ハンチングが出る開度の範囲(できればSP・PV・OPのトレンドも)を修理・部品のご相談窓口までお送りいただければ、分解が必要な症状かどうかと、先に手配しておくべき部品を絞ってお返しします。