韓国製バルブのフランジが手持ちの配管に付かない — JISとANSIの取合い
韓国から取り寄せたバルブが、既設の配管に付かない。口径は合っているのにボルト穴が合わない、あるいはガスケットの座が違う。原因はほぼ決まっていて、フランジの規格系列が違うことです。発注前に指定しておけば防げる種類の問題です。
口径が同じでも寸法は同じではない
まず押さえるのは、フランジが「口径」と「圧力の等級」の二つで決まることです。この二つが同じでも、規格系列が違えば外径もボルト穴の配置も変わります。
日本ではJIS、韓国ではKS、そして国際的な案件ではANSI/ASMEの系列が使われます。KSはJISに近い体系を持つものが多い一方、韓国の石油化学やプラント分野ではASME系列が広く使われています。つまり同じ韓国製でも、その製品がどの分野向けかで系列が変わるということです。
ここで起きるのが「韓国製だからJISに近いはず」という思い込みです。プラント向けの機器を買うと、ASME系列で来ることのほうが多くなります。
呼び径の表記そのものも系列で違います。日本では「200A」のようにミリ系で呼び、ASME系列では「8インチ」で呼びます。換算表の上では対応しますが、対応するのは呼びであって実寸ではありません。呼びが対応しているからフランジも付く、という読み方をすると外れます。
合わない現れ方は三つある
取合いが合わないとき、症状は次のどれかです。
| 症状 | 直接の原因 |
|---|---|
| ボルトが入らない | ボルト穴のピッチ円か穴径が違う |
| フランジ外径が合わない | 圧力等級か規格系列が違う |
| 締めても漏れる | ガスケット座の形状が違う |
| 面間が合わない | バルブの面間寸法の規格が違う |
最後の面間寸法は見落とされやすいところです。フランジが合っていても、バルブの全長が違えば配管に入りません。既設の間に入れる更新用のバルブでは、これが最初に効きます。
発注時に指定すべき項目
「200Aのバタフライバルブ」だけでは足りません。次の項目を書いて出します。
- 規格系列と呼び径 — JIS 10K なのか、ASME Class 150 なのかを明示します。
- フランジの面の形状 — 平面座か、突起面か、溝形かを指定します。
- 面間寸法 — 既設の寸法を実測値で伝えます。
- ボルト穴の数と径 — 系列が分かっていれば従属しますが、確認として書きます。
- 接液部の材質 — 取合いとは別ですが、同時に確定しておく項目です。
このうち面間寸法は、図面上の値ではなく現場で測った実測値を使います。古い設備では施工時の調整が入っていることがあり、図面と違う場合があります。測定は停止中の配管に対して行うもので、運転中に寸法を当たることはできません。定期整備の機会に併せて記録しておくのが現実的です。
もう一点、同じ系列でも圧力の等級が違えば寸法が変わります。JIS 10K と 16K、ASME Class 150 と 300 では、口径が同じでもフランジ外径とボルト穴が別です。既設が何Kなのかを確認せずに「JISで」とだけ指定すると、系列は合っていても等級で外れます。等級は既設のフランジの刻印か、配管の設計図書で確認できます。
変換という選択肢とその代償
系列が違うことが分かった場合、変換フランジやスプールを入れる方法があります。ただし代償があります。
一つは長さが増えることです。既設の間に入れる更新では、増えた分の余裕がないことがあります。二つ目は接続点が増えることで、漏れの箇所と点検対象が増えます。三つ目は圧力の等級を下げ得ることです。系統全体の等級は最も低い部品で決まります。
新設で配管をこれから組むなら、変換より系列を合わせて発注するほうが素直です。既設に入れる場合でも、まずその口径・等級で合う系列の製品があるかを確認してから変換を考える順序になります。
図面と現物のどちらを基準にするか
発注前の確認で確実なのは、寸法を数値で突き合わせることです。「JIS 10K相当」という表現だけでは足りません。相当品という言葉は、寸法が一致することを保証しません。
依頼する側から出すとよいのは、既設フランジの実測値です。外径、ボルト穴のピッチ円直径、穴の数と径、座の形状、この四つがあれば、供給側で該当する系列を特定できます。逆にこれがないと、供給側は推測で系列を選ぶことになります。
供給側からは、寸法が入ったフランジの図面を出してもらいます。型式番号だけの回答は、後で食い違ったときに根拠になりません。図面が出れば、発注前に自社で照合できます。
納期の面でも系列の指定は効きます。供給側が標準在庫で持っている系列であれば短納期で出ますが、特注の系列を指定すると製作になります。急ぐ案件では、先に「標準で持っている系列は何か」を聞いてから、既設側で変換を入れるか判断するほうが早いことがあります。指定を通すか納期を取るかは、案件ごとに決まる判断です。
既設側の資料が残っていない設備もあります。その場合でも、フランジの刻印に規格と等級が打たれていることが多く、そこから系列を絞れます。刻印が読めないほど腐食している場合は、実測の四項目だけで特定する流れになります。
ガスケットとボルトは別に決まる
フランジが合っても、付属品が合わないことがあります。ガスケットは寸法だけでなく、使用条件に合う材質を選ぶ必要があります。
ボルトも同じで、系列によって呼びがメートルねじかインチねじかが変わります。ASME系列ではインチ系のボルトが前提になっていることがあり、手持ちの工具と在庫が合わない場合があります。据付当日に工具が合わないと分かると、その日の作業が止まります。
発注時にガスケットとボルトを含めるかどうかを明記すると、この種の齟齬が減ります。含めない場合は、必要な規格を書面で受け取っておきます。
複数台まとめて買うときの注意
同じ型式を複数台発注しても、納期の都合で製造ロットが分かれることがあります。ロットが違えば、細部の仕様が変わっている可能性があります。
特に、途中で規格の版が変わった場合や、部品の供給元が変わった場合に差が出ます。据付の段階で「一台だけ合わない」という形で現れるため、原因の特定に時間がかかります。
防ぐには、納品ごとに図面と材料証明を受け取り、型式と版を確認することです。手間に見えますが、据付日に止まる損失と比べれば軽いものです。既設の図面が古い場合は、取扱製品の仕様と突き合わせて、どの系列に該当するかを先に確認できます。
見積依頼の時点で空欄になりやすい欄
取合いで止まる案件は、見積依頼の書式を見ると原因が分かります。口径と数量は書かれていて、規格系列、面の形状、面間寸法の三つが空欄になっています。
この三つは、依頼する側にしか分からない情報です。供給側は既設の配管を見ることができません。空欄のまま出せば、供給側は自社の標準で埋めて見積を出し、その標準が既設と違えば取合いが合わない製品が届きます。
既設のフランジ規格と口径、面間寸法をお送りいただければ、適合する韓国製の型式についてお返しします — 調達のご相談。