韓国のコンクリート製品・建材設備は誰が決めて買うのか
コンクリート製品や建材の製造設備を韓国で売ろうとすると、相手の姿がつかみにくいことがあります。大手プラントのような購買部門はなく、かといって個人事業でもない。誰に会えば話が進むのかが見えないまま、展示会と紹介を繰り返すことになります。
買い手の層が違います
この分野の設備を買うのは、石油化学や鉄鋼のような大企業ではありません。中小規模の製造業者が中心で、意思決定の形がまったく違います。
典型的には、経営者が技術者でもあり、購買の決定者でもあります。稟議も複数部署の合議もなく、判断は速い。その代わり、判断の材料が揃わなければ動きません。
ここを取り違えると営業の設計が狂います。大企業向けの資料と手順で臨むと、相手にとっては過剰で、必要な情報が入っていないという状態になります。
需要の動きも大企業とは別の軸で決まります。住宅や土木の着工量、公共事業の発注、建材の規格変更。これらが設備投資の時期を左右します。相手の受注が増えている時期に設備の話が通るという単純な関係があり、景気の局面を外すと、性能がいくら良くても投資の判断になりません。業界誌や統計で流れを見ておくと、訪問の時期が決まります。
何を見て決めているか
設備投資の判断材料は、カタログ性能ではありません。自社の製品と現場に当てはめたときにどうなるか、です。
| 見ているもの | 具体的には |
|---|---|
| 生産量 | 自社の製品で一時間に何個出るか |
| 人員 | 何人で回せるか、今より減るか |
| 設置 | 今の建屋に入るか、基礎はどうなるか |
| 切替 | 品種を変えるのにどれだけかかるか |
| 保守 | 部品はいつ届くか、自分で直せるか |
| 資金 | いくらを何年で回収できるか |
四番目の切替は、この分野特有の重さがあります。多品種を少量ずつ作る事業者では、切替時間が生産量そのものより効きます。カタログの最大能力より、実際の一日の産出量が問題になります。
回収の話が中心になります
大企業の設備投資は予算枠の中で議論されますが、この層では回収年数が直接の判断材料になります。経営者自身が返済を考えるからです。
したがって効く資料は、性能表ではなく試算です。現在の生産量、想定される増加、人員の変化、そこから出る年間の差額。これが具体的な数字で示されていれば、判断が進みます。
この試算は相手の数字がないと作れません。だから最初の面談で聞くべきは製品の説明ではなく、今の生産量と人員と課題です。聞いてから作る資料のほうが、持参した資料より確実に効きます。
補助金や融資の制度が判断に入ることもあります。設備投資に対する支援制度があれば、実質の負担が変わり、回収年数の計算も変わります。制度の有無や条件はこちらが説明する立場にありませんが、相手が使う可能性を前提に見積の形を整えておくことはできます。申請に必要な仕様書や見積の形式を聞いておくと、相手の手間が減ります。
現物と実績が言葉より効きます
この層の購買判断では、動いている設備を見ることの比重が大きくなります。カタログや動画より、同業他社の工場で実際に回っているものです。
そのため、韓国国内に一台でも稼働実績があるかどうかが大きく効きます。見学できる先があれば、商談は別の段階に入ります。
実績がない段階では、次善の材料を用意します。同じ製品を作っている他国の事例、実際の運転データ、加工サンプル。自社の製品に近い条件で出た数字であることが条件です。汎用の性能表は、ここでは材料になりません。
言語の壁もこの層では大きくなります。大企業の技術部門なら英語で進みますが、中小の製造業者では韓国語が前提になることが多くあります。通訳を挟むか、韓国語で対応できる窓口を持つかで、同じ面談から得られる情報の量が変わります。相手が自分の工場の課題を話し始めるところまで行けるかどうかが分かれ目です。
誰を通じて届くか
この層の事業者は、設備の情報を業界のつながりから得ます。同業者、材料の供給元、既存の設備業者、業界団体。
つまり、直接の営業よりもその経路に乗ることのほうが到達しやすくなります。既存の設備を扱っている業者と接点を持つ、材料メーカーの技術者と話す、業界の展示会に出る。
逆に、企業リストを買って一斉に連絡する方法は、この層ではほとんど機能しません。相手は普段そういう経路で設備を選んでいないからです。
据付と試運転が受注条件になります
大手なら建設会社が据付を担いますが、この規模では設備業者が面倒を見ることが期待されます。
基礎の設計、搬入経路、電源と用役の接続、試運転と作業者の教育。これらをどこまで自社が担うかが、そのまま比較材料になります。「機械だけ納めます」という条件は、相手にとって未解決の問題を抱え込むことを意味します。
ここは費用の話でもあります。含めれば価格は上がりますが、含めなければ相手が自分で手配する費用が別に発生します。どちらが総額で安いかを示せると、価格の議論が変わります。
保守をどう約束するか
この層の事業者は、設備が止まると直接の売上が止まります。予備の設備を持っていないことが多いためです。
したがって、部品がいつ届くか、誰が直しに来るかが購買判断に直結します。ここで「日本から技術者が」と答えると、相手は自分で直せる設備を選びます。
現実的な答えは、消耗部品を最初に一式渡し、交換手順を教えることです。この層の経営者は自分で工具を持つことが多く、手順さえあれば自分で対応します。それができる設備は評価されます。
価格帯の位置づけ
この分野には、現地製、中国製、欧州製、日本製が並びます。価格帯は明確に分かれており、それぞれに買い手がいます。
高い価格帯を選ぶ買い手は、精度、寿命、安定性のいずれかに理由を持っています。その理由を数字で示せなければ、価格差は正当化されません。「品質が良い」では材料になりません。
示せる数字は、たとえば不良率の差、段取り時間の差、消耗部品の寿命、年間の停止時間。相手の生産量に掛けると金額になる数字が、価格差を説明します。
大企業向けの手順をそのまま持ち込むと
この層に対して、大企業向けの営業手順をそのまま適用すると、噛み合わないことが起きます。
詳細な仕様書の提出を求められると思って厚い資料を用意すると、読まれません。複数回の技術会議を想定していると、相手は一回で決めようとします。逆に、こちらが「まず資料をお送りします」と言っている間に、相手は現物を見せてくれる業者と話を進めています。
相手が求めているのは、自分の工場でどうなるかの具体像です。それを一度の訪問で示せるかどうかが分かれ目になります。生産量、人員、建屋の寸法を聞いて、その場で概算と配置の案が出せれば、話は次に進みます。持ち帰って一週間かけた立派な提案書は、その間に別の業者が決まっていることがあります。対象とする製品分野と設備の種類をお知らせいただければ、韓国でどの層に当たるべきかについて見解をお返しします — 調達のご相談。発注構造が違う大型案件は三層構造で扱っています。