韓国EPCのベンダー登録に何が要るか — 提出書類と審査の流れ

韓国の案件で見積依頼が来ない。展示会で名刺は集まり、技術的な評価も悪くない。それでも引合いに入らないのは、多くの場合、有資格ベンダーの一覧に載っていないからです。購買部門は原則としてその一覧の中から声をかけます。

登録は引合いの前提であって、後工程ではない

韓国の石油化学、鉄鋼、発電、半導体といった分野の事業者は、自由に相手を選んで買うわけではありません。承認済みの供給者を一覧で管理し、購買部門はそこから引合いを出します。

この構造には副作用があります。技術的に優れた製品でも、参加していない比較では勝てません。引合いが出た時点で、候補は既に絞られているためです。

順序を逆に考える必要があります。「案件が来たら応募する」ではなく「案件が来る前に載っておく」。この二つの間には、相手先によっては数か月の差があります。

一覧を持っているのが二者いる

新設プラントの調達は、多くの場合EPCコントラクターが担います。EPCは自社の登録一覧を持っています。同時に、発注者側も重要機器については自社のベンダーリストを指定し、EPCはその中から選ぶことになります。

ここから、よくある思い違いが生まれます。EPCに登録していても、その品目について発注者が独自の一覧を持っていれば足りません。逆もまた同じです。自社の品目でどちらの一覧が効くのかを早い段階で確かめます。購買の担当者に具体的に聞けば答えが返ってくる質問です。

既設設備の更新や増設では、発注者が直接買います。この場合は発注者の一覧が効き、新設案件よりも保全部門の意向が選定に影響します。

もう一点、一覧には有効期限がある場合があります。登録が一度通れば恒久的に残るとは限らず、決算書の更新や認証の更新を定期的に求められることがあります。数年前に登録したまま更新の照会に気づかず、引合いが止まっていたという例もあります。登録した先と時期を社内で一覧にしておくと、この種の抜けが防げます。

提出を求められる書類

書式は相手先ごとに違いますが、聞かれる内容はほぼ共通です。次の区分で用意します。

区分具体的に聞かれること
会社設立年、従業員数、生産拠点の所在
財務直近三期の決算、信用調査の結果
品質ISO 9001、検査機器の管理、不適合時の処理手順
実績同一品目の納入実績、設備の種類と年
製品仕様書、材料証明、適用される認証
対応窓口、応答時間、補修部品の供給体制

先に手を付けておくと効くのが二つあります。一つは英語版を常備しておくこと。韓国の購買部門は英語で処理しますが、日本語の決算書はそのまま使えません。もう一つは実績を品目別に並べ替えておくことです。見られているのは、まさにその品目を納めたことがあるかどうかです。

書類を出す前に、社内でどこまで開示するかを決めておきます。品質マニュアル、工程表、検査記録の様式あたりは提出を求められることがあり、機密として出せない部分があるなら代替で何を示すかを先に用意します。審査の途中で「出せません」とだけ答えると、その項目は評価できないものとして扱われます。

止まるのは技術ではなく商流のところ

技術審査で落ちることは多くありません。引っかかるのは商取引の条件です。

韓国の事業者は、原則として韓国国内の事業者番号を持つ相手との取引を前提に経理処理を組んでいます。日本の製造者に現地法人がなければ、その形での請求はできません。購買部門は、自ら輸入手続きを引き受けるか、国内で調達できる形を探すかの選択になります。

より重く見られるのが保証対応と部品供給です。登録書式に障害時の対応時間を書く欄があるとき、「日本から技術者が渡航します」という回答は弱いものになります。連続運転する設備では、保全部門がこの一行を評価に含めます。

どちらも技術の問題ではありませんが、登録の可否を左右します。国内での対応を示せる体制があれば、空欄になりがちな二つの欄が埋まります。何を備えれば足りるかは品目によって変わるため、書式を埋める前に確認しておくところです。

実績として通る書き方

「世界で2,000台以上の納入実績」は効きません。見られているのは、同じ品目か、近い設計条件か、似た設備か、確認できる相手かの四点です。

韓国国内の設備に納めた実績は、欧州の実績十件分より重く扱われます。まだない場合の次善は、同じ企業グループの他国拠点に納めた実績か、同じEPCが建設した設備への納入です。

顧客名を出せない案件も多いはずです。その場合は設備の種類、国、年、設計条件を書いて名称を伏せます。これは通例のことで、問題になりません。逆に、技術的な条件が何も書かれていない実績は、何も示していないのと同じ扱いになります。

認証の欄は空けない

品目によっては、韓国側の認証の有無を問われます。プラント関連で頻度が高いのは、防護装置や防爆機器に関わる区分と、高圧ガス関連の設備に関わる区分です。

重要なのは順序です。登録の時点で取得済みである必要は必ずしもありませんが、「いつまでに取得するか」には答えられる状態にしておきます。空欄は、未解決の問題として読まれます。対象かどうかの判定は安全認証の確認手順で整理しています。

該当しない項目は、斜線ではなく一行の理由を書いて埋めます。斜線は記入漏れに見え、理由が書いてあれば判断した跡に見えます。

窓口の言語も実務では効きます。書類は英語で処理されますが、技術的な照会のやり取りでは韓国語で確認したほうが早い場面があります。誰が受けるかを決めていないと、照会が担当者の机で止まります。

いつ始めれば間に合うか

登録は段階を踏みます。書類の予備審査、技術部門による評価、場合によっては工場監査です。各段階で照会が入り、照会は時差を挟んで往復します。

半年後に発注される案件の話を聞いた時点で着手するなら、日程は厳しいながら間に合う範囲です。入札が公示されてから始めるのでは、その案件には間に合いません。ただし次の案件には間に合います。

短縮できる要素は二つあります。初回の提出で書類を揃えきること。そして、照会に一営業日で返せる担当者を決めておくことです。二週間動かない案件は、処理の順番が後ろに下がります。

登録の次に効いてくるのは見積の速さ

一覧に載れば引合いが来ます。次の関門は回答期限です。韓国の購買部門から届く引合いは、一週間から二週間の回答期限が付いていることが多く、その起算は発信日であってこちらの受信日ではありません。

そこから社内で誰が設計計算をして誰が価格を承認するかを決めていると、期限に間に合わないか、出せずに終わります。登録に成功していても、内部評価は下がります。

したがって登録の前に答えを出しておくべき問いは「一覧に載れるか」ではなく「十日で出せる見積体制があるか」です。品目と想定する発注者をお知らせいただければ、どちらの一覧が効くのか、書式のどこが空欄になりやすいかについて見解をお返しします — 調達のご相談