韓国に機械を入れる前の安全認証 — KCs防護装置の対象かを確認する順番

韓国向けの引合いに見積を出した後、「安全認証の区分を確認してほしい」と言われて止まる。機械そのものに問題はなく、書類も揃っている。それでも先に進まないのは、韓国側の設備担当者が受入の段階で確認を求められる項目だからです。

日本の検定とは別枠で動いている

前提を分けておきます。日本で労働安全衛生法に基づく検定を受けた機械や部品があっても、それが韓国の制度でそのまま通用するわけではありません。韓国には産業安全保健法に基づく安全認証の制度があり、対象品目は韓国側で定められています。

ここでよくある誤解が二つあります。一つは「CEマーキングがあるから大丈夫」というもの。もう一つは「日本の検定品だから同等に扱われる」というものです。どちらも技術資料としての価値はありますが、韓国の制度上の要求を置き換えるものではありません。

実務上の影響は納期に出ます。認証が必要だと分かった時点で、書類だけで済むのか、試験が要るのか、設計変更まで及ぶのかによって、必要な期間が大きく変わるためです。

対象かどうかを判断する順番

「自社の機械は対象ですか」という質問には、そのままでは答えが出ません。対象は機械の呼び名ではなく、構造と用途で決まるからです。確認は次の順で進めます。

順番確認する内容
1機械本体が認証の対象品目に該当するか
2本体が対象外でも、付属する防護装置や安全部品が対象か
3該当する場合、手続きの主体は製造者か輸入者か
4設置環境によって追加で要求される区分があるか

二番目を落とす例が目立ちます。機械本体が対象外でも、そこに付く安全装置が別に区分されていることがあります。本体だけを見て「対象外」と回答し、据付の段階で指摘されるのがこの経路です。

もう一つ、対象の判定を難しくしているのが「同じ機械でも用途で変わる」点です。同一の構造でも、設置される工程や扱う対象物によって要求が変わることがあります。カタログの機種名だけで問い合わせても確定的な答えが返りにくいのはこのためで、用途と設置条件を添えて確認するほうが早く進みます。

誰が申請するのかを早く決める

手続きの主体が製造者になるか輸入者になるかで、必要な書類も費用の出どころも変わります。日本の製造者が直接進める場合、韓国国内での窓口が必要になる場面があり、そこで止まることがあります。

逆に、韓国側の購入者が輸入者として引き受ける場合は、製造者が出す技術資料の範囲が論点になります。図面や計算書のどこまでを開示できるかは、社内で先に決めておかないと交渉の途中で答えが変わります。

見積書に「認証費用は別途」と書いておくのは最低限です。それだけでは、誰がいつまでに何を出すのかが決まりません。手続きの主体・開示する書類の範囲・所要期間の三つを、受注前に文書で確認しておくと後戻りがなくなります。

費用の扱いも先に決めておきます。認証の費用は申請料だけではなく、試験用の実機を送る場合の輸送費、立会に人を出す場合の旅費、翻訳費が乗ります。見積段階でこれらを「別途」とだけ書くと、受注後に誰が負担するかで交渉が一度戻ります。

既存の技術資料はどこまで使えるか

ゼロからやり直しになるわけではありません。日本やヨーロッパで作成したリスクアセスメント、試験報告書、構造図面は、韓国での手続きでも基礎資料として使えることが多いものです。

ただし、そのまま提出できる形になっているかは別の話です。実務で引っかかるのは次の点です。

この三つは、認証の可否以前に処理を遅らせる要因です。韓国向けの案件が動き出した時点で、既存資料の棚卸しを先に済ませておくと時間の損失が小さくなります。

設計変更が必要になる場合

書類だけで終わらないのは、要求される仕様が日本市場向けと異なるときです。頻度が高いのは次の三つです。

一つ目は表示と警告ラベルで、韓国語表記が求められる箇所があり、貼付位置まで指定される場合があります。二つ目は電源条件に伴う部品選定です。韓国の産業用電源は三相380V・60Hzが標準なので、日本仕様のままでは制御機器の定格が合わないことがあります。三つ目は非常停止と安全距離で、適用される規格の版が異なると寸法要求が変わります。

どれも設計として難しい変更ではありませんが、量産機で図面を確定している場合は社内手続きのほうが時間を食います。受注が決まってから着手すると、認証そのものより社内承認で納期を失います。

納入後に効いてくる書類

認証は通関のためだけのものではありません。韓国の事業所では、設備を据え付けた後に社内の安全部門が受入確認を行い、その記録に認証の区分や試験成績が残ります。

ここで書類が揃っていないと、機械は現場にあるのに稼働の承認が下りないという状態になります。設備投資の検収が遅れれば支払も遅れるため、購入側にとっては金額の問題にもなります。

この時点で追加資料を求められても、日本側の担当者が異動していれば探すところから始まります。提出した書類一式を案件番号で保管し、韓国側にも同じ一式を渡しておくと、数年後の増設や更新のときに同じ作業を繰り返さずに済みます。

確認を始める時期で結果が変わる

引合いの段階で始めるのが理想ですが、現実には見積提出後に動き始めることが多いはずです。それでも間に合う分岐と、間に合わない分岐があります。

書類の整備だけで済む場合は、受注後でも吸収できます。試験が必要な場合は、試験機関の日程が読めないため納期に直結します。設計変更を伴う場合は、社内の図面承認まで含めて考える必要があります。

つまり、最初に判断すべきは「認証が要るか」ではなく「三つのどの分岐に入るか」です。この判断だけなら、機種・定格・用途と既存の認証書類があれば見当がつきます。なお同じ書類は案件外でも求められます。発注者やEPCのベンダー登録の書式には、適用される認証と、未取得の場合の取得予定時期を書く欄があります。

見落とされやすいのは本体ではなく付属品

一台の機械として見れば対象外でも、安全柵、光線式安全装置、非常停止スイッチといった付属部品が別の区分に入ることがあります。本体の判定だけで回答して、据付時に付属品を指摘される経路が実際に多いところです。

特に、機械本体は自社製で付属の安全部品を他社から調達している構成では、その部品の認証状況を自社で把握していないことがあります。調達先に確認を依頼する時間も見ておく必要があります。

機種・定格・用途と、お持ちの認証書類の一覧をお送りいただければ、韓国側で確認が要る区分について見解をお返しします — 調達のご相談