韓国メーカーに発注した部品が図面と違って届く — 抜けていた仕様書の3行

韓国のメーカーに図面を送って発注した部品が届く。寸法は図面どおりで、材質も指定どおり。それなのに使えない。表面の仕上げが粗い、面取りがない、溶接ビードが残っている——図面に書いていなかった項目が、想定と違う形で作られています。

図面に書いていないことは作られない

国内の取引では、図面に書かなくても伝わる範囲があります。同じ業界の常識、過去の取引の経験、担当者同士の暗黙の了解。これらが図面の外側を埋めています。

海外調達では、この外側がありません。図面に書かれた線と数値だけが指示になります。悪意でも手抜きでもなく、書かれていない項目は各社の標準で作られるだけです。

そして各社の標準は、当然ながら違います。同じ図面を三社に出せば、書いていない部分は三通りになります。

図面の形式そのものでも差が出ます。二次元図面に投影法の指示がなければ、第一角法と第三角法のどちらで読むかが分かれます。国によって慣習が違うため、記号を入れていない図面は読み違えの余地を残します。三次元データを併せて渡せる場合は、そちらのほうが確実です。ただし三次元データには公差も表面粗さも入らないので、図面を置き換えるのではなく補う使い方になります。

抜けやすい三行

実際に問題になるのは、たいてい次のどれかです。

項目書かないと何が起きるか
表面粗さ仕上げが粗く、摺動面やシール面が機能しない
面取り・バリ角が立ったまま届き、組付時に手を切る・部品を傷める
普通公差の等級指示のない寸法の許容差が想定より大きい
表面処理防錆なしで届き、輸送中に発錆する
溶接の仕上げビードが残り、後工程で干渉する
熱処理の有無硬度が出ておらず、早期に摩耗する

このうち普通公差の等級は影響が広く、見落としも多い項目です。個別に公差を入れた寸法以外は、この等級で決まります。等級の指示がなければ、相手の標準が適用されます。

用語の解釈も確認しておく価値があります。「研磨」「仕上げ」「バリなきこと」のような言葉は、範囲が人によって違います。数値で書ける項目は数値にし、数値にできない項目は見本または写真で示すのが確実です。初回の取引では、良品の写真を一枚添えるだけで認識の差がかなり縮まります。

材質の呼び方が違う

材質はJISの記号で書きがちですが、韓国ではKS、国際案件ではASTMやENの記号が使われます。対応表の上では相当品とされる材質でも、成分の範囲や機械的性質の規定が完全には一致しないことがあります。

寸法の規格系列でも同じことが起きます。フランジや接続部ではJISとANSIの取合いが典型で、呼び径が同じでも系列が違えば付きません。材質と寸法は、どちらも「記号が同じなら同じ」とは限らない項目です。

実務としては、記号だけでなく要求する特性を併記するのが確実です。引張強さ、降伏点、硬度、耐食性のうち、その部品にとって外せないものを書きます。

そして、ミルシートを要求するかどうかを注文時に決めます。後から求めると、すでに材料が投入された後で証明を取り直すことになります。

「同等品」という言葉の扱い

見積の回答に「同等品を使用」と書かれることがあります。これは提案であって、了承の確認ではありません。

放置すると、了承したものとして進みます。同等品が問題ない場合も多いのですが、何と何が同等なのかを書面で確認するのが手順です。型式を挙げてもらい、こちらで判断します。

特に軸受、シール、電装部品では、寸法が同じでも寿命や定格が違うことがあります。寸法互換と性能互換は別の話です。指定した型式に理由があるなら、その理由を一行添えておくと、相手も代替の可否を判断できます。

検査の方法も指定しておきます。どの寸法をどう測るかが決まっていないと、測定の位置や条件が違って数値が合わないことがあります。特に薄板や長尺の部品では、置き方によって測定値が変わります。重要な寸法については、測定箇所を図面に示しておくと食い違いが起きません。

初回だけ確認を厚くする

すべての発注で厳密な確認をしていては、海外調達の利点が消えます。現実的なのは、初回に集中させることです。

初回でやることは三つ。初品の検査成績を求める写真を撮ってもらう量産に入る前に承認を出す。この三つで、標準の差が表面化します。

二回目以降は、初回で確認した内容が基準になります。初回を省くと、二回目以降も同じ不確かさを抱えたまま進みます。

梱包も仕様のうちです。機械加工品を裸で木箱に入れれば、輸送中に打痕が入ります。防錆紙、緩衝材、個別包装の有無は、注文書に書かなければ相手の標準になります。海上輸送で数週間かかる前提なら、防錆の条件は特に効きます。届いた部品に錆が出ていた場合、原因が製造なのか輸送なのかで責任の所在が変わり、その議論自体に時間がかかります。

届いてから直すか、作り直すか

寸法が図面どおりで仕上げだけが違う場合、国内で手直しするほうが早いことがあります。面取りやバリ取りは、国内の加工業者で対応できます。

判断の基準は、手直しで要求を満たせるか手直しの費用が輸送と待ち時間を下回るかです。表面処理のやり直しや熱処理の追加は、国内でも費用がかかります。

作り直しを求める場合は、何が仕様と違うのかを図面の項目で示します。「思っていたものと違う」では交渉になりません。図面に書いていなかった項目であれば、こちら側の不備でもあります。

図面の改訂管理も食い違いの元になります。やり取りの途中で図面を差し替えたのに、版数を変えずに同じ名前で送ると、相手がどちらで作ったか分からなくなります。差し替えるたびに版を上げ、注文書に版数を書くだけで、この種の問題はほぼなくなります。届いた品が古い版どおりだった場合、版数が注文書にあれば原因の特定が一分で済みます。版数がなければ、どちらの図面で作ったのかという話から始まります。

注文書に一行入れておく

図面の改訂を重ねるより、注文書に共通の条件を入れるほうが効率的です。よく使われるのは次のような項目です。

これらは一度決めれば、以後の注文すべてに適用できます。図面を書き直すより手間が少なく、抜けも起きにくくなります。

図面どおりなのに使えなかった一例

指示を尽くしても外れる場合があります。多いのは、図面が完成品の形を示していて、そこに至る工程を示していないときです。

たとえば、溶接構造の部品で溶接後の機械加工を前提にしていたのに、相手が加工後に溶接した。寸法は測れば図面どおりでも、溶接の熱で歪んだ状態で仕上がっています。あるいは、鋳物の肉厚が図面どおりでも、湯流れの都合で内部の状態が違うことがあります。

この種の食い違いは、図面の項目を増やしても防げません。効くのは工程の順序を指定することで、「溶接後に機械加工」と一行入れれば足ります。設計者には自明でも、図面には現れない情報です。手元の図面と、これまでに届いた品で違っていた点をお送りいただければ、注文書に入れておく項目について見解をお返しします — 調達のご相談