韓国市場で日本製機械が置かれている価格帯 — 現地製と欧州製の間で
韓国で見積を出すと、現地製より高く、欧州製より安い、という位置に置かれます。この中間という位置は、条件次第で最も有利にも最も不利にもなります。分かれるのは価格そのものではなく、何と比べられているかです。
三つの価格帯が並んでいます
産業機械の市場には、おおむね三つの層があります。現地製と中国製、日本製、そして欧州製です。それぞれに買い手がおり、選ぶ理由が違います。
最も安い層を選ぶ買い手は、初期費用を抑えることが目的です。最も高い層を選ぶ買い手は、精度や実績や規格対応に理由を持っています。中間の層は、その両方の一部を求める買い手が選びます。
問題は、中間の層は両方向から比較されることです。安い側からは価格で、高い側からは仕様で。どちらの比較に置かれるかによって、説明すべきことが変わります。
層の境目は分野によっても違います。精度が支配する工程では上の層が選ばれやすく、量をこなす工程では下の層が強くなります。同じ工場の中でも、工程ごとに選ぶ層が違うことは珍しくありません。自社の製品がどの工程に入るのかを見れば、最初から競合の層が絞れます。工場全体を相手にすると的が散ります。
どちらと比べられているかを確認する
見積を出した後、相手が誰と比べているかは聞けば分かります。聞かずに進めると、間違った方向の説明をすることになります。
| 比較相手 | 示すべきこと |
|---|---|
| 現地製・中国製 | 差額に見合う効果 — 不良率、寿命、停止時間 |
| 欧州製 | 同等の性能を満たすこと、納期と対応の速さ |
| 既存設備の継続使用 | 更新しないことの費用 |
| 比較なし(単独検討) | 投資の妥当性そのもの |
四番目は見落とされがちです。比較相手がいない案件では、競合ではなく「買わない」という選択と競っています。この場合に他社比較の資料を出しても効きません。
安い側と比べられたとき
価格差を正当化するには、数字が要ります。「品質が良い」では材料になりません。
効くのは、相手の生産量に掛けると金額になる数字です。不良率の差、消耗部品の交換周期、年間の停止時間、消費電力。これらは相手の条件に当てはめて計算できます。
計算に必要なのは相手の数字なので、先に聞くことになります。今の生産量、今の不良率、止まったときの損失。これを聞いてから作る資料は、持参した一般的な比較表より確実に効きます。
総額で比べる視点も用意しておきます。価格差が本体価格の差だとしても、運転費、消耗品費、保守費、そして停止による損失を足した総額では順位が変わることがあります。設備の使用年数で割れば年間の差になり、年間の差なら相手の損益の話になります。本体価格だけの比較は、買い手にとっても本当は不便な比較です。
高い側と比べられたとき
欧州製と並べられる場合、価格では有利です。問題になるのは仕様と実績です。
仕様書に特定の規格や認証が指定されていれば、それを満たすかどうかが先です。満たさないなら、その理由と代替の証明を出します。ここで曖昧にすると、価格の優位が使えません。
実績については、同じ用途での納入が求められます。韓国国内にあれば最も強く、なければ同種の設備への納入事例を条件付きで示します。数字のない実績は材料になりません。設備の種類、処理量、稼働年数が書かれていれば、社名がなくても比較の材料になります。
中間が最も強くなる条件
三つの層のうち中間が選ばれやすいのは、特定の条件が揃うときです。
一つは納期です。欧州製より短い納期で出せるなら、それは価格と別の価値になります。もう一つは対応の速さで、時差がほとんどないことは実際の利点です。三つ目は細かい対応で、仕様の一部変更に応じられるかどうかです。
これらは価格表に出ない項目ですが、比較表には書けます。納期を週数で、応答時間を時間で書けば、比較の一行になります。
部品の供給も価格帯の評価に入ります。本体が安くても消耗部品が高い、あるいは入手に時間がかかる設備は、数年使った買い手には分かります。逆に本体が高くても部品が手に入りやすければ、その評価は次の購買に反映されます。本体と部品を合わせた位置づけが、実際に記憶される価格帯です。
価格を下げずに条件を変える
価格で押されたとき、値引き以外の手があります。構成を変える方法です。
基本構成と選択部分を分ける。初期は最小構成で入れ、後から追加できるようにする。支払の時期を分ける。複数台の計画があるなら台数を前提にした価格にする。
どれも相手の制約を知らないと提案できません。予算の枠、決裁の上限、導入の時期。これを聞ければ、値引き以外の解が出せます。
提示の仕方も位置に影響します。同じ金額でも、内訳を示して範囲が分かる見積と、総額だけの見積では受け取られ方が違います。内訳があれば相手は削る場所を探せますが、総額だけでは値引きを求める以外の手がありません。結果として、価格交渉しか起きない形になります。内訳を出すことは手の内を見せることではなく、交渉の軸を価格から仕様に移すことです。
為替が位置を動かします
三つの層の相対的な位置は固定ではありません。為替が動けば、同じ製品の相対価格が変わります。
円安の局面では中間の層が安い側に近づき、円高では高い側に近づきます。数年単位で見ると、この移動は小さくありません。
したがって、見積の有効期限と為替の前提を明記することが実務上重要になります。書いていなければ、後の変動が値上げとして受け取られます。書いてあれば、条件の変化として説明できます。
一度決まった位置が固定されます
相手の社内で一度「この価格帯の会社」と認識されると、その位置は次の案件にも引き継がれます。
値引きで一件取ると、その価格が次回の基準になります。相手の購買記録に残るのは、値引き後の金額だからです。次に定価で出すと、値上げとして扱われます。
逆に、価格を維持して理由を示して取った案件は、その理由ごと記録に残ります。何を理由に選ばれたかが、次の案件での立ち位置を決めます。
数年後に効いてくる差
価格帯の位置は、一件ごとの受注より長い時間で効いてきます。設備は数年から十数年使われ、その間に評価が積み上がるからです。
安く入った設備が期待通りに動けば、次も同じ層から選ばれます。動かなければ、その層全体の評価が下がります。逆も同じで、高く入った設備が価格差に見合わなければ、次はありません。
つまり、その一件で得た価格より、その設備が数年間どう評価されるかのほうが次の受注を左右します。この観点で見ると、無理な値引きで取った案件は、価格を下げただけでなく期待値を上げており、二重に不利になります。設備が期待通りなら問題ありませんが、期待が価格に釣り合わない水準まで上がっていれば、評価は下がる側に振れます。対象の設備分野と想定する競合をお知らせいただければ、どちらと比べられやすいかについて見解をお返しします — 調達のご相談。相手の予算周期は年度予算で扱っています。