韓国で商標を先に出願されていた場合 — 参入前に踏む順番

韓国での販売を本格的に始めようとして商標を調べたら、自社のブランド名がすでに他人の名義で登録されていた。使っていたのは何十年も自社です。それでも、韓国国内でその名前を使えるかどうかは、日本での実績ではなく韓国での登録で決まります。

権利は国ごとに立ちます

商標権は国単位です。日本で登録していても、その効力は日本国内に限られます。韓国で保護を受けるには韓国で権利を取る必要があります。

そして多くの国と同様、韓国も先に出願した者を優先する制度です。実際に使っていたかどうかより、出願の順序が基本になります。

この二つを合わせると、結論はこうなります。日本で長く使ってきた名前でも、韓国で誰かが先に出願していれば、その人の権利になり得ます。不当に思えても、制度としてはそう組まれています。

制度には例外もあります。取引関係にあった相手が無断で出願した場合など、一定の事情があれば争える枠組みが用意されているのが通例です。ただしこれは立証の問題になります。当時のやり取りや契約書が残っていれば材料になりますが、何年も前の口頭の合意では難しくなります。記録が残っているかどうかで、取れる手が変わります。

誰が出願しているか

先に出願されている場合、相手はいくつかの類型に分かれます。対応が変わるので、まずここを見ます。

相手背景
過去の取引相手自社の名義で登録していた
現地の同業者近い名称を独自に使っている
転売目的の第三者使用実態がない
偶然の一致別分野で無関係に使用

過去の取引相手の名義になっている例は珍しくありません。現地で販売するために登録が必要で、当時そのまま相手の名義で取ったという経緯です。悪意とは限らず、契約で取り決めていなかっただけということもあります。

まず調べる

対応を考える前に事実を確定します。韓国の商標は公開データベースで検索でき、出願人、出願日、登録日、指定商品の区分が分かります。

見るべきは四点です。同一か類似か、指定区分が自社の商品と重なるか、登録から何年経っているか、そして実際に使われている形跡があるか。

区分が重ならなければ、そもそも衝突しない場合があります。文字の見た目が似ていても、対象が全く違う商品なら併存し得ます。ここを確認せずに諦めるのは早すぎます。

調査は自社でも始められますが、類似の判断は経験が要る部分です。文字が違っても称呼が近ければ類似とされることがあり、図形商標では見た目の印象が問題になります。一次的な確認は自社で、判断は現地の専門家にという分け方が費用の面でも現実的です。最初から全部任せると調査費が膨らみます。

取れる手段

状況によりますが、実務で使われる道筋はいくつかあります。

一つは交渉による譲渡です。転売目的の相手なら金銭で解決することが多く、費用は読めませんが時間は短くて済みます。

二つ目は不使用を理由とする取消です。登録から一定期間使われていない商標は、取消を求められる制度が多くの国にあります。使用の形跡がない相手にはこの道があります。

三つ目は別の表示で入ることです。ロゴの形を変える、社名と組み合わせる、現地向けの別ブランドを立てる。権利争いを避けて事業を進める選択で、費用と時間の面では最も軽くなります。

どの区分で取るか

自社で出願する場合、区分の選び方が後で効いてきます。商標は指定した商品・役務の範囲でしか守られません。

機械を売るなら機械の区分が中心ですが、それだけでは足りない場合があります。部品、修理・保守の役務、技術指導。事業として提供するものが複数の区分にまたがるなら、必要な範囲を押さえます。

区分を増やすと費用が上がるので、全部取るのが正解とは限りません。判断の基準は、その区分で他人に使われたら困るかです。保守まで他社名義で登録されると、修理を請け負う際に支障が出ます。機械本体より保守で収益を上げる事業なら、そちらの区分のほうが重要になることもあります。

費用と期間の目安も先に持っておきます。出願から登録までには審査の期間があり、数か月では終わりません。異議や拒絶理由への対応が入ればさらに延びます。営業の予定に合わせて逆算するなら、登録を待たずに出願済みの状態で動くことを前提に組みます。出願の事実自体が、第三者の後願に対する備えになります。逆に、登録が下りるまで営業を止めるという判断は、機会の面で割に合わないことが多くなります。

表記も決めておきます

韓国では、外国のブランド名がハングル表記でも流通します。英字のまま使われることもあれば、音を写したハングルが定着することもあります。

このハングル表記が別に登録され得る点は見落とされがちです。英字だけを登録しておいて、ハングル表記を他人に取られると、現地で通用している呼び名を使えなくなります。

どの表記が定着するかは市場が決めるので、先回りするのは難しい面があります。ただ、自社で表記を決めて統一しておけば、少なくとも自分の選んだ形を押さえられます。

出願の時期

先願主義の下では、早いほど有利です。ただ費用もかかるので、どこまで早く動くかは判断になります。

目安になるのは情報が外に出る時点です。展示会への出展、現地向けの資料配布、代理人を通じた引合い。名前が知られた時点から、第三者が出願する可能性が生まれます。

つまり、営業活動を始める前に出願しておくのが順序として自然です。活動を始めてから調べて、すでに取られていた、という順序が最も費用がかかります。

誰の名義で取るか

現地での手続きを誰かに任せる場合、名義を自社にしておくことが重要です。

手続きの便宜で現地側の名義にすると、その権利は相手のものになります。関係が続く間は問題になりませんが、取引の形が変われば自社の名前を自社が使えないという状態になり得ます。

これは信頼の問題ではなく、記録の問題です。名義と費用負担を最初に文書で決めておくだけで、後の争いはほぼ起きません。決めていないと、何年も経ってから経緯を知る人がいなくなります。

数年後に効いてくること

商標の問題は、参入した直後には表面化しません。取引量が小さいうちは誰も気にしないからです。

効いてくるのは、事業が育った後です。販売が増え、名前が知られ、そこで権利者から連絡が来ます。あるいは大口の取引先から、権利関係の確認を求められます。その時点では選択肢が減っています — 名前を変えれば築いた認知を失い、交渉すれば相手は事業規模を知った上で条件を出してきます。

だからこの作業は、成果が出る前にやっておく種類のものです。費用は事業が小さいうちのほうが小さく、選択肢は事業が小さいうちのほうが多い。順序が逆になると、同じ結果を得るのに何倍もかかります。韓国での展開を検討されているなら、現在のブランド表記と対象商品をお知らせいただければ、確認すべき範囲について見解をお返しします — 調達のご相談。参入の順序全体はベンダー登録と合わせて見ると整理しやすくなります。