韓国の展示会で集めた名刺が案件にならない — 出展後に詰まる場所

韓国の展示会に出展して、三日で百枚以上の名刺が集まりました。手応えもありました。ところが半年後に振り返ると、そこから進んだ案件はありません。名刺が悪かったのではなく、会期後に起きるはずだったことが起きていません。

会期中にできることは限られています

展示会で成立するのは、相手が自社の存在と扱う製品を知る、という段階までです。仕様の詰めも価格の話も、その場では進みません。

つまり展示会は入口をつくる場であって、案件をつくる場ではありません。案件になるかどうかは、会期が終わってから数週間で決まります。

ここを取り違えると、出展の評価が「来場者数」や「名刺の枚数」になります。どちらも入口の広さを測る指標で、そこから先に進んだかは測っていません。

どの展示会に出るかも、この構造から決まります。来場者数の多い総合展は入口が広い代わりに対象外の来場者も多く、分野を絞った専門展は数が少ない代わりに設備担当が来ます。名刺の枚数で評価している限り総合展が有利に見えますが、引合いの件数で見ると逆になることがあります。判断するには前回の記録が要り、ここでも記録の有無が効いてきます。

名刺は同じ重さではありません

集まった名刺は性質が混ざっています。分けないまま同じ扱いをすると、労力の大半が成果につながらない相手に向かいます。

相手その後
具体的な用途を持つ技術者最も可能性が高い
情報収集中の設備担当時期が来れば動く
取扱いを持ちかける商社目的が違う
同業他社調査目的
関連のない来場者対象外

この区別は会期中にしかできません。話した内容を覚えているのはその日だけで、一週間経つと名刺の束は均質になります。その場で仕分ける仕組みがないと、後から分けることはできません。

その場で何を記録するか

名刺そのものには何も書かれていません。記録すべきは会話の中身です。

最小限で足りるのは四つです。何を探していたか、どの設備・工程の話だったか、時期の言及があったか、次に何を送る約束をしたか。名刺の裏に走り書きでも構いません。

四つ目が特に効きます。「資料を送ります」と言った相手と、何も約束していない相手では、後追いの意味が違います。約束があれば連絡は自然で、なければ売り込みになります。

言語も現場では効きます。ブースに立つのが英語対応だけだと、技術者が細かい条件を確認したいときに話が浅くなります。通訳を置くか、韓国語で応対できる人を用意できるかで、同じ来場者から取れる情報の量が変わります。記録の質は、聞ける内容の深さに比例します。

会期後の数日が分岐点です

関心は時間とともに薄れます。相手は複数のブースを回っており、一週間もすれば個々の記憶は混ざります。

だからこそ、会期中または直後に送るのが実務としては有効です。帰国してから整理して、二週間後に一斉送信する方式では、相手にとって誰からの連絡か分からなくなっています。

送る内容は、その相手と話した具体的な話題に触れたものにします。全員に同じ資料を送ると、それは案内であって返信の対象になりません。

会期中に会えなかった相手への接触も考えます。出展者リストや来場登録の情報から事前にアポイントを取っておく方法は、当日の偶然に頼るより確実です。会いたい企業を先に決めて、会期前に連絡しておくと、三日間のうち少なくとも数件は確実な面談になります。ブースに立って待つだけでは、来た人としか会えません。

相手の社内で何が要るか

関心を持った技術者が社内で話を進めるには、社内文書に添付できる資料が要ります。英語のカタログだけでは、その人が自分で要約を作ることになります。

ここで止まる案件が相当数あります。相手に悪意はなく、忙しいだけです。作業を肩代わりする材料があれば進み、なければ後回しになって消えます。

用意するとよいのは、一枚の要約と仕様表です。詳しい説明より、そのまま転用できる形のほうが効きます。この点は技術資料の範囲で扱った内容と重なります。

展示品の選び方も後追いに影響します。完成した装置を持ち込めない場合でも、断面模型や部分品、実際の加工サンプルがあると会話が具体的になります。カタログを前に説明するだけの相手とは、話した内容が抽象的になり、記録として残る情報も薄くなります。手に取れるものが一つあるかどうかで、聞き出せる用途の具体性が変わります。相手が自分の設備の話を始めた時点で、記録が意味を持ちます。

時期が合っていない相手をどうするか

会場で話した相手の多くは、いま買う予定がありません。それは断りではなく、時期の問題です。

韓国の設備投資は年度の予算枠で動くため、検討が集中する時期があります。展示会で会った相手が動くのは、その枠を組む時期です。会期の直後ではありません。

したがって必要なのは、その時期まで接点を保つことです。数か月後に概算を出せる状態でいれば、枠に入る可能性が出ます。連絡が途切れていれば、その時期に思い出されません。

出展の設計を変える

次回に向けて変えられるのは、会期中の動き方です。名刺を増やすより、記録の質を上げるほうが結果に効きます。

具体的には、ブースで聞く質問を決めておきます。「どの工程でお使いですか」「いま何をお使いですか」「時期はいつ頃ですか」。この三つの答えがあれば、会期後の優先順位がつきます。

人員配置も関係します。全員が説明に回ると記録が残りません。記録を担当する人を置くだけで、会期後に使える情報の量が変わります。

出展しない選択も含めて考える

展示会は費用が大きく、効果が測りにくい活動です。続けるかどうかは、入口としての機能を果たしているかで判断します。

判断材料になるのは、前回の出展から実際に何件が引合いに進んだかです。名刺の枚数ではなく、引合いの件数。これが分かるのは、会期中に記録を取っていた場合だけです。

記録がなければ、出展の可否は印象で決まります。そして印象は、たいてい「手応えはあった」で止まります。

後追いの次に詰まる場所

会期後の連絡がうまくいき、資料も渡り、相手の社内で検討が始まったとします。次に止まるのは、多くの場合そこから先です。

相手は概算の金額を必要とします。予算の枠を組むために数字が要るからです。ところが仕様が固まっていない段階では、こちらは正確な見積を出せません。ここで「仕様が決まってからお出しします」と答えると、話が止まります。相手は数字がないと項目を立てられず、項目が立たなければ翌年の検討対象になりません。

必要なのは、前提を明記した概算を早い段階で出すことです。どの構成で、何が含まれ、何が含まれないか、いつまで有効か。この四つを書けば、精度が粗くても使える数字になります。展示会の成果が案件に変わるのは、たいていこの一枚が出た時点です。韓国での出展予定と対象分野をお知らせいただければ、会期中に取るべき記録について見解をお返しします — 調達のご相談。