韓国語の技術資料はどこまで用意するのか — 商談が止まる資料の抜け
技術的な評価は終わっているのに商談が進まない。追加の質問も来ない。こういうとき、相手の社内で資料が止まっていることがあります。英語の資料は渡してあっても、稟議に添付できる形になっていない、という状態です。
止まるのは翻訳の量ではなく種類です
「韓国語資料が必要か」という問いは、たいてい量の話として受け取られます。カタログを全部訳すのか、マニュアルまで訳すのか。しかし実際に効くのは量ではなく、どの場面で誰が読む資料かです。
相手の社内で資料が使われる場面は三つあります。技術評価、稟議、そして納入後の運用です。この三つは読む人も目的も違い、必要な言語も違います。
技術評価は英語で進むことが多く、稟議書は社内文書なので韓国語です。運用は現場の作業者が読むので韓国語が前提になります。全部を訳すより、この三つのどこが詰まっているかを特定するほうが早く解決します。
もう一つ、資料が止まる場所として多いのが問い合わせの往復です。相手が社内で説明するために追加情報を求め、それが英語で返ってきて、また社内向けに直す。この往復が数回続くと、担当者にとって手間の大きい案件になります。最初から転用できる形で渡しておけば、この往復自体が発生しません。
稟議に添付できる形とは
韓国の企業で投資や購買を決めるには社内の決裁文書が要ります。作るのは担当者で、そこに根拠資料を添付します。
このとき、二十ページの英語カタログは添付されません。決裁者が読む時間がないからです。担当者は自分で要点をまとめ直すことになり、その作業が後回しになると案件が止まります。
ここで効くのは分厚い資料ではなく、A4一枚から二枚の要約です。何をする装置か、何が優れているか、いくらか、納期はどれくらいか、実績はどこか。これが韓国語であれば、担当者はそのまま添付できます。
要約に何を書くかは決まっています。装置の用途、他社と何が違うか、概算価格帯、標準納期、類似設備への納入実績、そして問い合わせ先。この六項目が一枚に収まっていれば足ります。技術的な優位性を詳しく書きたくなりますが、決裁者が見るのは投資の妥当性であって技術の詳細ではありません。詳細は二枚目に置き、必要な人だけが読む形にします。
優先順位をつける
すべてを訳すのは費用も時間もかかります。効果の順に並べると次のようになります。
| 優先 | 資料 | 誰が読むか |
|---|---|---|
| 1 | 要約(1〜2枚) | 稟議の決裁者 |
| 2 | 仕様表 | 技術担当・購買 |
| 3 | 操作・安全に関わる表示 | 現場の作業者 |
| 4 | 保守手順・部品表 | 保全部門 |
| 5 | カタログ本体 | 初期の情報収集 |
カタログが最後なのは、それが検討の入口であって決定の材料ではないからです。入口は英語でも通ります。決定と運用に近いものほど、韓国語である価値が上がります。
機械翻訳をどこまで使うか
翻訳の質は場面によって求める水準が変わります。全部を専門家に出す必要はありません。
情報収集段階の資料は、機械翻訳でも用は足ります。読み手は内容の見当をつけたいだけです。一方、安全に関わる表示と操作手順は別です。誤訳が事故につながり、責任の所在にも関わります。
その中間が仕様表です。数値は訳す必要がなく、項目名だけが問題になります。項目名の対訳表を一度作れば、以後の製品にも使えます。これは投資として効率がよい部分です。
訳す相手の選び方も結果に出ます。一般の翻訳者に機械の資料を出すと、専門用語が一般語に置き換わって意味が変わることがあります。分野の経験がある訳者を一度見つけたら、継続して同じ人に出すほうが用語も文体も揃います。費用の差より、やり直しと信用の差のほうが大きくなります。
用語がぶれると信用が落ちます
複数の資料で同じ部品が違う名前で呼ばれていると、読む側は別物かと考えます。翻訳を都度外注すると、この状態になりやすくなります。
防ぐ方法は単純で、用語集を作って渡すことです。自社の主要な部品名と技術用語について、日本語・英語・韓国語の対応を一覧にします。五十語もあれば主要な部分は覆えます。
この一覧は翻訳会社に渡すだけでなく、現地の窓口や相手側の担当者と共有する価値があります。用語が揃うと、問い合わせの往復が目に見えて減ります。
図と表は言語をまたぎます
文章を訳すより効率がよいのが、図表で伝えることです。寸法図、フロー図、性能曲線、選定表は、注記さえ訳せばそのまま通じます。
特に選定の手順を図にしたものは効果が大きくなります。条件を入れると型式が決まる流れが図で示されていれば、相手は自分で当てはめられます。文章で書かれた同じ内容は読まれません。
写真も同様です。据付状態の写真、実際の運転風景、取り合い部分の拡大。これらは言語を要さず、しかも実在の証明になります。実績を名前で出せない場合の代替にもなります。
現地でそのまま使える形式にする
内容が正しくても、形式が合わないと使われません。実務で引っかかるのは次の点です。
編集できないPDFだけを渡すと、担当者は要約を作れません。編集可能な形式も一緒に渡すと、社内文書に組み込んでもらえます。ファイル名が日本語だと、相手の環境で文字化けすることがあります。用紙サイズや単位系も、そのまま印刷できるかどうかに関わります。
細かい話に見えますが、使うときの手間が一つ減るごとに使われる確率が上がります。資料は読まれるためではなく、転用されるために渡すものです。
更新が止まると古い資料が独り歩きします
一度渡した資料は相手の社内に残り、数年後の検討でも使われます。型式が変わっても、手元にある古い資料で判断されることがあります。
そのため、資料には版数と日付を入れます。どの時点の情報かが分かれば、相手も確認しようという判断ができます。入っていないと、古い内容がそのまま現在の仕様として扱われます。
改訂したときは、前に渡した相手にも送ります。これは営業の口実としても自然で、接点を保つ方法になります。
全部を訳して逆に使われなくなる場合
予算がついて資料一式を韓国語化した結果、以前より使われなくなることがあります。理由は二つです。
一つは量です。百ページの韓国語資料は、二十ページの英語資料より読まれません。翻訳したことで探す手間が増え、どこを読めばよいか分からなくなります。
もう一つは更新の停止です。全面翻訳は費用が大きいため、次の改訂で同じ費用をかけられず、韓国語版だけが古いまま残ります。相手は最新の英語版と古い韓国語版のどちらを信じるか分からなくなり、結局どちらも使わなくなります。
続けられる範囲で作るほうが、一度に作って止まるより効果が長く残ります。まず要約一枚と用語集から始めて、改訂のたびに更新できる量に抑える。主力機種と想定する読み手をお知らせいただければ、どの資料から手をつけるべきかについて見解をお返しします — 調達のご相談。書式に何を書くかはベンダー登録と重なります。